睡眠の悩みはCBT–I理論で解決できるのか?

育つ=健康な状態で過ごすのは、「寝る子」に限ったことではありません。

良い睡眠は良い人生=ウェルビーングをもたらすと言っても良いほど、人間にとって睡眠は重要な行動のひとつだという認識が広まってきました。

調査や研究が進むに従って、睡眠の問題も表面化するようになっています。

日本では、約半数の49.2%で「睡眠の悩みがある」「やや悩みがある」という回答をしています(日本インフォメーション(株)調べ、2022年5月の日本全国16〜59歳の男女975サンプルを対象にしたインターネット調査による)。

これを解消するため、世界各国の不眠障害の診療ガイドラインでは、薬物療法より認知行動療法が安全性・効果ともに高いとして、治療の第一選択になっています。

この不眠障害に対する認知行動療法をCBT-I(Cognitive Behavior Therapy for Insomnia)と言います。

日本ではCBT-Iのエビデンスが少なく、実施できるセラピストも足りないため、代替療法として薬物が用いられることが一般的になっています。

このように世界から1歩も2歩も遅れた日本を尻目に、世界では不眠に限らず睡眠障害全般にも適用可能な「睡眠と概日リズムの機能障害」に焦点をあてた認知行動療法(Trans-C)が開発されています。

このTrans-Cを遠隔つまりオンラインのコミュニケーション・システムを使って提供できるセラピスト育成の研修会が進められているようです。

ケミカルやサプリメント、はたまた民間療法的なものに頼るのではなく、実践的な方法で心地よい目覚めを迎えて有意義な1日を過ごすためにも、こうした研究が進むことを願っています。

参考
CBT‒I の理論と実践
ICTを用いた遠隔での睡眠と概日リズムの問題に対する認知行動療法