「座り心地」は悪いほうが脳を刺激して人類を進化させるかもしれないという件

 

「座ることは脳に影響する。脳にいい座り方は何か?」という記事。

 

272259285_eaaa7401cc_m photo by rachel sian

 

「座る」を哲学し科学する「座ラボ」という研究会のサイト。インタビュイーは認知学の権威である人間性脳科学研究所所長の澤口俊之氏。

 

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座インタビュー vol.3 澤口 俊之|座ラボ|「座る」を哲学し科学する研究会|テイ・エス テック株式会社
高次脳機能の研究で常に最先端の研究にたずさわり、ワーキングメモリ、認知学の権威である澤口俊之先生。 今回は、脳科学の観点から『座る』について語っていただきました。 …

 

そもそも『座る』という行為は、進化の上で必要がない姿勢です。まだ、われわれの祖先が樹上生活をしているときでも、座ることは、安全が完全に確保された状態でないととれない姿勢でした。敵を発見したときに着座していたら、逃げるのが遅れます。進化の上では立つか、寝るか、この2つの姿勢しか生物としては求められてなかったということになります。

 

直立歩行が腰痛を引き起こすように、「座る」という行為は生物的には特殊な体制だったということなんですね。

 

座っている時間が長いとテロメア(寿命)が短くなるとか、座っているときよりも立っているときの方が、想像力が働くとか、そういったデータがあります。立ち姿勢はそれだけでも脳に刺激がいくので、脳科学的にはいいわけです。

 

余計な行為だっただけじゃなく、邪魔な行為だったかもしれないというデータが出ているのか!

 

座ることは脳に悪いというデータがありますが、それだけ影響があるということです。逆に良い影響を及ぼす可能性も大いにあります。実際、人間は有史以来、座ってさまざまなものを創造してきました。昔は硬い椅子しかなかったので、硬い、座り心地の悪い椅子のほうが脳に良いのではないかという説もあります。座り心地が悪いと脳が刺激されるようです。

 

この発想は研究者らしくていいですね。

「座る」=身体にとってNGという結論付けではなく、反対側からの仮説を立ててみる。なるほど。座ることで安心感を得ることが脳の活性化を妨げるのなら、座り心地を悪くしてやれ、と。

 

前のめりの座り方はいけません。前のめりに俯いて座ると、いわゆる老け顔になって視野が狭くなると言われています。また、座っていると疲れを自覚しにくくなります。

 

これは覚えておいたほうがよさそうです。

 

バイクのシートは、強制的にバイクと一体化させられます。ここにリラックスはない。その代わり、バイクとの一体感、シートを通じてバイクを操る感覚が大きい。自分とバイクが一つになって、バイク自身が自分そのものになったような感覚です。バイクに乗る前と乗った後では、後の方が脳機能の向上が見られるというデータもあります。それだけ刺激を受けているのです。この刺激はシートとの接し方、つまり座り方で決まっているわけです。

 

澤口氏は脳を刺激する座り方のひとつの例としてバイク乗車時をあげています。これはヨーロピアン・タイプのバイクで、ハーレーのようなアメリカン・タイプではないことを付け加えておきましょうか。

 

座り方で血流量が変わることはわかっていますから、血流量、特に脳に届く血流を増やすような椅子は重要です。

 

こうした研究で「トクホ」的な椅子が市場に現れるのも時間の問題かもしれませんね。

 

「座り心地がいい」だけを追求してきた感のある椅子業界。科学的に「座る」を分析して、必ずしも座り心地はいいわけではないけれど作業効率がアップするというような機能性の高い商品の開発に役立つ話なのではないでしょうか。

 

そう考えると、「心地がいい」ということは「寝られる」と同義であるわけですから、「座り心地のいい椅子」というのは作業に向いているのではなく寝るのに向いているというわけですよね。

 

だったら、どこかの会社でも導入していましたが、立ったままの会議などをもっと増やしたほうがいいのかもしれません。

 

あ、立ったままでよくなっちゃうと椅子のニーズにはつながらないか(笑)。