面接とはとどのつまり自分に付けられる値段の交渉に行き着いてしまうのかもしれない

 

中途採用面接で、志望動機を聞かれて「もっと給料が欲しかったからです」と回答した人がいた。|Books and Apps という記事がおもしろかった。

 

5437288871_7c5c0c770a_m photo by stevendepolo

 

著者が面接の手伝いをしたときに出会った中途採用の応募者の話。

そもそも就職の面接では……

 

金の話はしないという不問律があるらしい。

ボクもその昔、就職情報誌の仕事などで「面接の達人」と呼ばれる人のゴーストライターなどをしていたから、そのあたりの知識はあるつもりだ。

面接はハラスメントにちかいパワー・バランスの歪みもでるが、金の話をしないというのはそれに類するものであるような気がする。

 

ところがこの応募者は、「カネが欲しいから転職をするんだ」と、正直に面接官に訴えたというのだ。

 

で、著者は考えた。「それは当たり前のことなんじゃないのか」と。

 

私は、沈黙を破って思い切って質問してみた。

「給料が高ければ、どの会社でもいいんですか?」

彼はそれに対してこう言った。

「もちろん、どの会社でもいいということはありません。給料が高いことは必要条件であって、十分条件ではありません。しかし、エンジニアとして10年やってきて感じたのは、「やりたいこと」を言って、それが叶うことは殆どなかった、ということと、「とりあえず何の仕事でも、一生懸命やれば楽しかった」ということです。」

確かにそうだ。彼の言うとおりだ。

 

しかし、著者と、面接を担当した役員は合否を迷った。ところが社長は「合格」という判断を下す。

 

その彼は現在、その会社に転職して頑張っているというオチだ。

 

この話は、転職というところがポイントであるような気がする。というのは、自分のスキルとギャランティを交渉できるレヴェルであるからだ。

新卒のときには、これが難しい。だから、「面接の達人」は少しでも具体的な「夢」を語れと指導していた。新卒者の持ち駒は「未来」しかないからだ。

 

そうであるにしても、ギャラの交渉をしていることに違いはない。

 

そうなれば、面接というのはいかに本音を隠せる能力があるかを判断する場ということになってしまうのだが、それもまた真実なのかもしれない。

 

この話とは別に、「なんでもいいから働かせてください」という泣き落としもあることを思い出したが、これとても「なんでもやる」から「カネをくれ」という裏返しで、決して「真面目に仕事をする」ことをアピールしているわけではないと思う。