残業という名の無駄な仕事をしない秘訣はワーママが教えてくれた

 

長時間労働は本当に必要? ほとんどの社員が17時に帰る年商59億円の化粧品会社|Yahoo!ニュース に載っていたワーキングマザーことワーママが活躍する会社で実践しているルールがとても興味深かった。

 

IMG_2453 photo by jennysbradford

 

記事では、化粧品の開発と販売を行う「ランクアップ」という会社を取材。この会社の……

 

プロフィールは以下のとおり。

 

2005年にスタートした同社は創業以来9年連続で業績が右肩上がり。現在の年商は59億円。

驚くのは、従業員数41人(アルバイトも含む)のうち、女性は9割以上。さらに約半数にあたる19人がワーキングマザーだという。しかも、ほとんどの社員が17時に退社。さらに、産休育休後は同じポジションに復職し、給与も下がることはない。離職者は過去3年間でゼロ。

 

ワーママにとって天国のような会社であるのみならず、それが業績に反映している点で、時短が必ずしも業績と両立しないという一般論を一蹴し得る実例になっているのだ。

 

ランクアップの就業ルールには学ぶべき点が多くあるように思ったので引用してみたい。

 

ルーティンワークをなるべく少なくするために、「単純なデータ入力や資料作成は、基本的にアウトソーシング」する。「空いた時間で社員は「考える仕事」や、スキルを高めるための講義を受ける」ことによって、効率化を高めている。

 

これは多くの企業で取り入れたいと考えていることだろうが、実際には実現していない。理由はおそらくルーティンワークが好きな人が正社員に多いからではないかと思っている。

 

スキルを高めて「考える仕事」を選択する社員人生はけっこう辛い。座っているだけで給料がもらえるほうがいいと思うのが正社員の特権だと考えている人ってけっこういるんじゃなかろか。もちろん、現実はそんなに甘くないからそういう妄想に浸りたいのだろうけど。

 

効率化に関したルールで、「不要な会議、打ち合わせの削減。社内資料の作成には時間をかけない」というのもなかなか実現が難しいことではないだろうか。

 

確かに、多くのビジネスパーソンが、これまで「この会議(打ち合わせ)、必要なのか?」と感じたことがあるはずだ。文章に起こせば5行程度で書ける内容の会議を、5人で、2時間かけて行っていたりすることがある。誰も指摘しないと、その慣習は続いてしまう。作りこみ過ぎる社内資料や、過剰なホウ・レン・ソウも同様だ。

 

これは上司が求めることから止めなければ実現できない問題だろう。部下の力量を作業量でしか査定できない上司の教育をするところから会社を改革していかなければならないので、大変だ。

 

岩崎社長は印刷会社と工場など、同社を介さずに取引先だけで打ち合わせを行うことに積極的だ。通常なら、事故が起こることを恐れて社員が同行しそうなものだが、岩崎社長は「間に仲介が入ることで、事故が起こることの方が多い」と言う。取引先を信頼する、信頼できる取引先をつくればその負担も減るのかもしれない。

 

部下を信用できる力量をもった上司を育てられるかと同様に、取引先を信頼できる、いや、信頼できる取引先を選ぶことのできる社員を育てられるかが問われるだろう。

 

ランクアップでは、たまたまワーママの活用をきっかけに、働き方の根本を問い直す改革を断行することができて、それが業績という結果も伴うこともできたわけだが、それは運がよかっただけでなく、必然性が伴っていたからに違いない。

 

現在、時短や効率化が話題になるのは、社会が成熟して縮小しているからにほかならないのだけれど、効率的に大きな成果を得るという考えではなく、どうすれば会社任せにしてコントロールできなかった時間を自分に取り戻せるのかが問われているのだと思う。

 

ワーママは取り戻した時間を、使わなければならない家族のための時間として使っているわけだけれど、それは家族のためにかぎらないわけだ。

 

生き方のメリハリを考えさせられる記事だったような気がする。