LGBTQへの強制的な転向療法には意味がないことが医学的に証明されたようです

米Cytel社のAnna Forsythe氏らによる研究結果。

「転向療法(コンバージョンセラピー)」とは、LGBTQ(性的マイノリティ)の人々に性的嗜好・ジェンダーアイデンティティ(性同一性)の変更を行う取り組み(SOGICE)。

この「転向療法(コンバージョンセラピー)」が、精神面へ深刻な悪影響を及ぼすとともに、治療に関連して生じる経済的負担も相当な額になると報告される。

今回の研究では、発表済み研究のデータ28件=LGBTQ計19万695人を含む対象について、転向療法と有害事象との関連を検討。

19万695人のうちの12%が転向療法を受けており、何も受けなかった人に比べて、精神的苦痛(47%対34%)、抑うつ(65%対27%)、物質乱用(67%対50%)、自殺未遂(58%対39%)を経験した人の割合が高いという結果になった。

また経済的にも、推定される生涯の経済的負担が1人当たり9万7,985ドル(約1146万円、1ドル117円換算、以下同)余分にかかることがわかった。

これに対して、セクシュアリティやジェンダーアイデンティティの肯定的な表現の正当性を認める「アファーマティブセラピー」では、何も受けない場合に比べて、1人当たり4万329ドル(約472万円)のコスト削減となっている。

米国では、LGBTQの若者で転向療法を受ける可能性があるとされるのは推定50万8,892人。総合的な経済的負担は総計92億3000万ドル(約1兆799億1000万円)にのぼると推定される。

研究グループは、政策立案によってムダな資金供給を廃し、アファーマティブセラピーの利用を促すことに注力すべきと指摘している。

米フェンウェイ研究所の健康政策研究部長Sean Cahill氏は、「多くの場合、親は子どもを傷つけるつもりはなく、助けようとしているのだと思う。転向療法により子どもがいかにリスクを負うかを知れば、多くの親は受けさせたいとは思わないはずだ」とも指摘。

苦しんでいる人を追い込むのではなく、寄り添える社会の実現のために、こうした研究結果が使われることを期待したいですね。