電子版お薬手帳の雲行きが怪しくなっているようです

この記事をざっくり説明すると……

健康保険証のマイナカード対応など
医療サービスのDX化が叫ばれるなか、
電子版お薬手帳のサービスについて
気になるニュースが流れてきました。

問題になっているのは、
日本薬剤師会が提供する
電子版お薬手帳。

この開発・運営はNTTドコモが
請け負っていたのですが、
2022年6月に「サービスを終了する」
と告げられたとのこと。

日本薬剤師会は「あってはならない判断」と
不満を示すものの、法廷闘争は考えていない
そうです。

そうなると、代替サービスを探すのか
オンプレミスするのか(まず無理でしょうね)
今後の対応について日本薬剤師会の方針が
気になるところです。

日本薬剤師会では2022年内に結論を出す
としていますが、こうした乗り換えや
サービス元の切り替えによる利用者側の
手間というのは、DX化の大きな障害と
なる問題なので、インセンティヴを
含めて「面倒くさいなぁ」と思わせない
対応をしていただきたいものです。

電子版お薬手帳について

電子版お薬手帳が広まるきっかけになったのは
2011年3月11日の東日本大震災。

日ごろ服用している薬についての情報が
避難や津波被害などによって失われても
ちゃんと迅速に確認できるとして
注目されたことで認知度が急上昇。

日薬とNTTドコモの関係

日薬こと日本薬剤師会とNTTドコモは、
2019年から「eお薬手帳」を提供。

これのもとになっているのが
大阪府薬剤師会とSTNet(四国電力系)による
2013年に行なわれた実証実験で生まれた
「大阪e-お薬手帳」で、同システムを採用した
「日薬eお薬手帳」を2015年7月1日から
全国展開しています。

2019年に、このシステムの開発・運用を
引き受けたのがNTTドコモで、ドコモが
展開していた「おくすり手帳Link」と
「日薬eお薬手帳」を統合するかたちで
引き継ぐことになりました。

このときの基本合意では、STNetも
地域医療情報連携ネットワークとの
連携を担うかたちで残ることになっています。

背景としては、あくまでドコモ側の
「経営判断」とのことですが、
どうやらドコモがCLINICSの運営に
加わったことが、日薬eお薬手帳を
見限るきっかけになったみたいなのですね。

CLINICSはオンライン診療・服薬指導アプリで、
こちらの運営に力を入れるために
日薬eお薬手帳とは距離を置くというか、
なんならシェアを奪ってしまおうと
いわんばかりの動きですね。

いずれにしても、利用者の利便性が
置いてきぼりになってシェア争いされても
こちらにはなんの得にもならないんですよね。

まぁ、結局は医療提供側を巻き込んでの
シェア争いとなって、長いものに巻かれた
結果を利用者が受け入れざるをえない
状況しか想像できないのですが、
さっさと保険証と診察券とお薬手帳が
マイナンバーカードに格納されて
1枚かざせばすべて済ませられるという
利用者の負担を軽減する未来が来ることを
願っています。